ドイツ・ハンブルクで画廊を営む帯広市出身の美術コーディネーター、佐藤幹子さん(42)が、同国で日本人作家の企画展を手掛けて今年で十周年を迎えた。「日本の現代美術に秘められた独自の感性」を発信。画廊だけでなく、各地の美術館や見本市でも広めたいと、欧州巡回展など新たな挑戦に乗り出している。(ハンブルクで石井群也、写真も)
佐藤さんがドイツに渡ったのは一九九〇年。帯広のグリュック王国で働くドイツ人の暮らしぶりから「カルチャー・ショック」を受けたのがきっかけだった。車嫌いで散歩好き、贈り物の包みは自ら装飾する心遣い…。好奇心から渡欧を決意。九五年、ブレーメンで現代美術と出会った。
「茶わん一つでも見る角度によって面白さが無限に広がることを初めて知った」。型にはまらない現代美術の楽しさと奥深さを教えてくれたのは、当時ドイツで活動していた岩見沢出身の美術家、端聡(はたさとし)さんだった。その後、欧州の美術展を何百カ所も回り運営を独学。九八年、ハンブルクで企画活動を始めた。
日本人の感性のすばらしさを再認識するにつれ、「地方の美術家が東京でなく、いきなり海外で発表する場があってもいい」との思いが募った。二〇〇二年、欧州では数少ない日本人美術家を専門に扱う画廊を開設。これまで手掛けた作家は約七十人。帯広出身の画家、堀田真作さん、札幌出身の彫刻家、谷口顕一郎さんら、半数以上が北海道出身者だ。
「画廊経営は競争の世界。人脈、資金がなければ、作家を広く紹介する見本市への出展もできない」。活動十年を機に、欧州各地の巡回展に取り組む決意を固め、英国、北欧などの関係者との協力態勢づくりを始めた。
「一瞬流行して廃れるようなものでなく、長く心に残る作品を扱い続けたい」。単身、渡欧して十八年。佐藤さんの挑戦は続く。
(北海道新聞より引用)
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